税務のあれこれ
確定決算主義
従来の我が国における会計は、強行法規たる商法に従って、株主総会の承認を受けた決算を前提として税務申告を行うことを原則
として来たことについては異論の無いところだと思われます。しかし、平成8年から実施されている「日本版ビッグバン」(所謂、金
融ビッグバンのことで銀行・保険分野を対象とする)に続き、平成10年には国際会計基準が関係各国による承認への目処をつけ
(世界がSECの米国会計基準に近づくこと)、我が国にとっては2度目とも云うべきビッグバンすなわち「会計ビッグバン」がただいま
静かに進行中と申せましょう。そして先の金融ビッグバンに呼応するかのごとく平成8年後半から企業会計審議会、会計士協会、
同審査会等が矢継ぎ早に指針、意見書、基準などを公表し、これらのうち主だったものが平成11年4月から施行されることを「新会
計基準」の導入と称し、この間に行われた独禁法の改正による持ち株会社解禁をも含むところで会計ビッグバンと総称するのが一
般的見解と考えられます。
では、これらはいったい何のために行われるのでしょうか。
時価主義会計
全てを繋ぐキイワードは、ディスクロージャー(情報開示)に他成りません。連結も、キャッシュフローも、税効果も、年金会計も、
「ディスクローズする」その一点に集約されるのです。これを会計の側から見れば取得原価による確定決算主義会計から時価主義
会計へと見ることが出来るのです。勿論、これら新基準の影響を直接に受けるのは比較的大規模な法人に限られますが、中小法
人は蚊帳の外と云う訳には行きそうも有りません。忽ちに影響が出ることも考えられませんが、先に洗礼を受けた金融機関が早
晩、融資の基礎として対応を求めてくる、或いは対応していない法人には融資できないとされることも考慮する必要がありそうで
す。
次回は住宅ローン減税の落とし穴。
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第1回 確定決算主義と時価主義会計